需要曲線と供給曲線

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1.イントロダクション

経済学を入門するにあたってまず需要曲線と供給曲線から学び始めようと思いますが、それらを学び始める前に経済学の用語を少し紹介しましょう。スーパーなどで買う様々な商品があります。例えば牛乳、チョコレート、豚肉などなどです。これら形ある商品のことを経済学ではまとめて「財」と呼びます。その他にもマッサージや散髪など、形あるものを受け取るわけではなくて、それら特別な技術を受ける場合があります。そのような商品のことを「サービス」と呼びます。そして、財・サービスとお金を交換する場所のことを「生産物市場」と呼びます。(生産物市場の説明は「ミクロ経済学とは」のページ3にあります。)

ある財、例えばアイスクリームの値段や販売量はどのように決定されているのでしょう?天気がいい日には沢山売れるのでしょうか?原材料の牛乳が値上がりした場合はアイスクリームの価格はどうなってしまうのでしょう?それがこの章で学ぶことです。


2.完全競争市場

経済学では市場は大きく分けて完全競争市場、独占市場、寡占市場、独占的競争市場の4つを学びます。後者の3つをまとめて不完全競争市場と呼びます。ここでは完全競争市場を先に学びます。なぜかというと、この市場が一番わかりやすく簡単だからです。この市場の特徴は沢山ありますが、この章で扱う特徴は次の2点だけです。

・財の品質は全て均一である。

・多数の買い手と多数の売り手が存在し、彼らは自分が価格に影響を与えないと考えて行動する。
  (このように行動する個人を価格受容者またはプライステイカーと呼ぶ)

この二つの説明を軽くしましょう。財の品質は全て均一である、というのは、アイスクリームでいえば、全てバニラ味でどこのお店のアイスもおいしさは変わらないということです。ハサミでいえば切れ味や使い勝手が全て同じということです。ちょっと現実ではありえないように感じるかもしれません。確かにこのような条件を満たす財の市場は珍しいかもしれません。ただし、品質が全て均一である市場のメカニズムを理解すると、品質が異なる市場のメカニズムを考えるにあたってとても役に立つことになります。つまり、いろいろな応用を考える前の基礎ってことですので、現実には適していないのではないか、と思っても、現実に適したものを考えるためにまずはこの仮定のもとで分析しましょう。 次に二つ目の仮定を説明します。多数の買い手と多数の売り手が存在し、という部分はそのままの意味で、アイスクリームの例であれば、アイスクリームを買う人とアイスクリームを売る販売店や製作所が沢山あるということです。ではそのような状況だった時、あなたはアイスクリームを買う時に、自分が買い続ければ価格が上がるまたは下がると考えるでしょうか。少なくとも僕は考えません。アイスがスーパーで105円で売っていれば、僕が買おうと買わなくとも、105円で売り続けると思います。このように多数の売り手と多数の買い手が存在すると自分の行動が価格に影響を与えないと考えて行動するのです。またその人のことを価格受容者(プライステイカー)と呼びます。 (ちなみに買い手が多数存在しない、売り手が存在しない場合、人々は自分の行動が価格に影響を与えると考えて行動するはずです。例えば独占の時、売り手は価格を設定することができます)したがって、多数の買い手または売り手が存在するために、自分の行動は全体に影響を与えないとして人々が行動するということです。

3.需要曲線

さて、本題に入りましょう。需要曲線について学び始めましょう。あなたの目の前に二つのアイスクリーム店があります。しかも同じ味で同じ量、使っている材料もまったく同じであるとします。しかし、二つのお店のアイスクリームには違う点は一つだけ存在します。それか価格です。一つは100円、もうひとつは80円です。あなたはどちらを買いますか? 品質がわからなければ、高い方がおいしいのではないか、なんて考えて100円の方を買ってしまう人もいるかもしれませんが、同じ品質であるとわかっています。だとしたら、80円の方を買いますよね。このように需要者は同じ品質の財であれば安い価格の財をより多く需要します。簡単にいうと、商品の価格が下がれば前以上に沢山買います。スーパーでいつもより安売りされた商品は買いたくなります。 この法則を需要の法則といいます。


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