全微分

presented by P-suke

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3.理論的理解

さて、さきほどまで直感的に理解してきましたが、全然厳密ではありませんでしたね。そこで、ここではいくつか証明を行います。

Aを定数として


   (※)


が微分可能であることの必要十分条件であり、またAがf’(x)であることの証明。まずは十分性の証明。つまり、(※)ならばf(x)が微分可能である、の証明。

上の式を書き換えて



両辺に極限をとると



Aは定数であるから、Δxの影響を受けない。したがって、



であるから、右辺のどちらの項も極限値を持っている。したがって、



である。



の値が存在するため、微分可能の定義よりf(x)は微分可能でありA=f’(x)である。したがって、十分性が証明された。

次に必要性の証明。つまり、f(x)が微分可能であるならば(※)、の証明。

f(x)が微分可能であるならば



したがって、Aは定数であるから



とおくと、



の式を変形すると



両辺に極限をとると



よって、必要性が証明された。

全微分可能であるということの厳密な定義は、A、Bを定数として





です。

次に全微分可能であるならば偏微分可能であり、また、



であることを証明する。

今、Δy=0として、Δx→0とする。したがって、



式を書き換えて



(Δx,Δy)がどのように(0,0)に近づいても



であるから、もちろんΔy=0としてΔx→0としても成り立つ。つまり



となる。また、



である。(この命題の証明は省略)

したがって、



偏微分可能の定義より、上式の極限値がAと定数に収束したので偏微分可能であり



である。同様にしてΔx=0としてΔy→0とすれば



が証明できる。(証明略、時間があったらしてみてください。)

したがって、微分dfは



である。だが、x=x,y=yは常に成り立っているのでx=x,y=yを同様に全微分すると





であるから、



である。

以上で全微分の章をおわります。入門編にしては結構すごいこと書いちゃったなぁと思います。お疲れさまでした。


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