代替効果と所得効果

presented by P-suke

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代替効果

 

代替効果について少しまとめます。さきほどの例において、第一財の価格下落が起きた場合、第一財の価格下落による代替効果は第一財の需要量を増加させ、第二財の需要量を減少させました。つまり、第一財の価格の下落と第一財の需要量への代替効果は反対に動き、第二財の需要量への代替効果とは同じ方向に動きました。つまり、自己代替効果は負、交差代替効果は正の値であるということです。このことは二財モデルでは常に成り立つことなのです。(自己代替効果が負であることは一般に成り立ちます。)

ところで、この交差代替効果に着目した財の分類があります。それは代替財と補完財です。以前説明したものは粗代替財と粗補完財でした。厳密な意味での代替財と補完財は代替効果をによって定義されます。定義を述べると

代替財とは交差代替効果が正である財

補完財とは交差代替効果が負である財

ということになります。つまり、二財モデルでは代替財しか存在しないのです。補完財は3財以上のモデルになった場合に存在するのです。

所得効果

所得効果について少しまとめましょう。先ほどの例では、第一財の価格の下落によって第一財と第二財の消費量がともに増加しました。しかし、毎回こうであるとは限りません。所得効果とは財の価格が下落(上昇)した場合、所得が増加(下落)した場合と同様の効果として分析できる部分なのですから、それはつまりその財が正常財なのか劣等財なのかということに依存するのです。

価格が下落(上昇)した倍、あたかも所得が増加(減少)したようです。したがって、正常財であるならば価格が下落(上昇)した場合、所得効果は需要量を増加(減少)させる方向に働きます。つまり、さきほどの例では第一財も第二財も正常財だったというわけです。劣等財であるならば、価格が下落(上昇)した場合、あたかも所得が増加(下落)したようですから、所得効果は財の需要量を増加(減少)させるように働くことになります。

図における理解

まず、代替効果を図で表します。先ほど述べたように価格の下落の代替効果は第一財を増やし、第二財を減らします。

さて、次に新しい予算制約線に接する無差別曲線への需要量の効果(所得効果)をみるわけですが、これが財が正常財なのか劣等財であるのかに依存してきまります。

まず両財とも正常財の場合。所得効果は需要量が(h1,h2)だった場合からの予算制約線のシフト(所得の増加)と同様の動きです。したがって、両財とも正常在ならば所得の増加によって需要量が(h1,h2)からともに増えるわけです。図では、需要量が(h1,h2)であるところに青い線を引いてあります。両財とも増えるためには2枚目の図のように縦に引いてある青線よりも右で、横に引いてある青線よりも上でなければなりませんから、予算制約線のオレンジの部分が選ばれるはずです。つまり、両財とも正常財ならばオレンジの線上で無差別曲線が接していなければなりません。また、無差別曲線がオレンジの線上で接しているならば両財とも正常財です。

次に第一財が劣等財で第二財が正常財だった場合を考えましょう。その場合、所得が増加すれば第一財はh1より減少し、h2よりも増加します。したがって、上から3枚目の図のように縦に引いた青い線よりも左側で横に引いた青い線よりも上の部分のオレンジ色の場所に最適点があるのです。これも先ほどと同様にオレンジ色の部分で無差別曲線が接していれば(最適点があれば)第一財は劣等財ですし、第二財は正常財になります。また第一財が劣等財で第二財が正常財ならばオレンジ色の線上に最適点がなければなりません。

最後に第一財が正常財で第二財が劣等財だった場合です。これはもうさきほどの逆です。つまり第一財が所得効果によって増加し、第二財が所得効果によって減少するわけですから、縦に引いた青い線よりも右側で横に引いた青い線よりも下にあればいいのです。したがって、上から4枚目の図のようにオレンジ色の部分に最適点があればいいのです。逆にオレンジ色の部分に最適点があれば第一財は正常財で第二財は劣等財になるのです。

前回も述べましたが、両財が劣等財になるということはありませんので、この3パターンで終わりです。余談ですが、新しい最適点での無差別曲線を描くときに、無差別曲線が有する特徴(原点に対して凸、無差別曲線が交わらない、単調増加)を満たすように書かなければいけないのですが、片方が劣等財だと、これらを満たすように書くのが大変ですね。ちょっと内側にめり込むような無差別曲線を描いた時点で単調増加じゃないですからね(^_^;)よく交わりそうになるし。さて、次のページでこの3パターンのうちあるパターンをもうすこし分析しましょう。


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