代替効果と所得効果

presented by P-suke

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図によってギッフェン財を考える

では、ここでギッフェン財について説明しましょう。さきほど第一財の価格が下落した時、第一財が劣等財であった場合を図で説明しました。そのケースにおいて所得効果がとても大きい場合、特に(自己)代替効果よりも大きい場合を見てみましょう。(右の図をクリックしてください。)この時、第一財はギッフェン財または超劣等財超下級財と呼ばれます。というのも、この時、右の図のように第一財の価格が下落したのにも関わらず、第一財の需要量が減少しているのが確認されます。劣等財でありかつ、所得効果が代替効果よりも大きいギッフェン財は需要曲線が右上がりになるのです。この財は価格が上昇した場合には需要量が増加しますし、需要の法則がブレイクしますね。(尚、第一財の価格が変化した場合、第二財が劣等財ならば、代替効果と所得効果は同じ方向であるため、どちらの効果が大か小かということで財の分類はしませんし、代替効果と所得効果が逆の方向になる第二財が正常財の場合でも、所得効果が代替効果(交差代替効果)よりも大か小かで求まるのは、第二財が第一財の粗代替財か粗補完財かということで、第二財がギッフェン財だという議論にはならないことに注意です。)

理論的には存在するギッフェン財ですが、現実においてギッフェン財が観測されたかどうかということに関しては、観測されたという学者と観測されなかったという学者がいます。観測されたという例では、アイルランドのジャガイモや、日本の戦後の粟などがあげられます。

所得ギリギリで生きるためにしょうがなく、嫌々消費している場合に生じるといわれたりします。日本の戦後の粟の例だと、米が食べたいのに、そんな所得がないため嫌々粟を食べていた状況です。今、粟の価格が下落したとします。今までは生きるために必要だった粟が所得ギリギリだったのに、粟の価格が下落したため、今までと同じ量を購入しても所得に余裕が生まれます。そこで、余ったお金でお米を購入できました。そうすると、お米を食べることができるので、粟の食べる量を減らしても十分に生きていけるので、粟の購入量を減らしました。つまり、粟の価格が下落したので、粟の購入量を減らしました。

こんな感じのロジックです。まっ、ギッフェン財についてはこんな感じですね。つまり、めったなことがない限り、ギッフェン財は存在しません。需要の法則も特殊なケースを分する場合を除いて、成り立つというわけです。気をつけてほしいのは、ギッフェン財の定義は「需要曲線が右上がりになる財」ではなく、「劣等財であり、かつ所得効果が代替効果よりも大きい財」だということです。もちろんギッフェン財の需要曲線は右上がりですが。

この章では、代替効果と所得効果を図で学びました。そこで、代替効果と所得効果を用いてギッフェン財の定義も行いました。次の章では、今までの効用最大化行動や代替効果と所得効果を用いて、労働供給を説明してみましょう。また、ここでは代替効果と所得効果を数値を用いて計算することも、数式で表すことも行ってません。それらについてはスルツキー方程式の章で行うことにしましょう。


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