多変数関数と偏微分

presented by P-suke

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1.イントロダクション

この章では、独立変数と従属変数について説明した後、多変数関数とは何か、ということを説明し、そのあとで偏微分を説明します。また、最後のページに偏微分の計算問題集とその解答をPDFではりつけておきました!

今まで学んできた「関数」というものは一つの変数が決まれば、もうひとつの変数も決まるというものでした。例えば、50円のチョコを何個買うか決めると、支出額が決まるということです。3個買うなら支出額は150円、4個買うなら200円、x個買うなら50x円という風に支出額が決まります。チョコを何個買うかは自分で決めているので独立変数(independent variable)といいます。チョコの購入量が決まれば支出額が決まりますので支出額は従属変数(dependent variable)といいます。(この時は支出額が決まった場合、チョコの購入量も決定するので、支出額を独立変数、チョコの購入量を従属変数とみてもいいです。)今から学ぼうというのはこの「独立変数」が1つではなく2つ以上になるとどうなるのか?ということです。といっても難しい話ではありません。さきほどの例の話を少し変えます。今、50円のチョコを何個買うかと100円の抹茶アイスを何個買うかを考えています。チョコの購入量と抹茶アイスの購入量が決まれば、支出額が決まりますよね。チョコを3個、抹茶アイスを2個買うと決めれば、支出額は350円と決まります。つまり、独立変数が「チョコの購入量」と「抹茶アイスの購入量」の二つに増え、この独立変数が二つとも決定すると、従属変数である「支出額」が決定するということです。このようにここでは、今までは一つの変数が決まれば、もうひとつの変数が決まるというのを拡張して、二つ以上の変数が決まれば、一つの変数が決まる、ということを学んでいきます。(というか、後者の方が現実的ですよね。)

ちなみに変数は変化すること、変化させることができる数という意味です。反対の言葉として、「定数」と「パラメータ」が考えられます。しかし、ほとんどの数字が変化させることができてしまう数字ですよね。そこで問題となっている数字に変数を絞り込み、その他の数字を定数やパラメータとおくことが普通です。その際、その数字がパラメータとして妥当かどうかということも考える必要があります。先ほどの例だと、チョコの購入量は独立変数でしたが、チョコの価格は50円と定数としていました。でもチョコの価格だって変化する可能性があるはずです。購入者が交渉して値切ることも可能かもしれませんし、チョコの販売者にとってみれば、50円は独立変数かもしれません。しかし、それでは問題が解けません。そこで、「今、チョコの買い手にとって、チョコの価格は変化させられないものだと仮定する」として、チョコの価格は50円である、としたのです。でも、これでは価格が50円の時しか問題が解けていないことになります。そこで、価格をA円としましょう。そうすると、購入量が3個の時、支出額は3A円です。このように、価格は定数であるけども、その定数に具体的な数字を与えずに文字で置き換える、ということができ、このときの文字Aをパラメータというのです。さっきのxは変化することが前提の文字でしたが、このパラメータAは変化しないことが前提の文字です。こうすると、問題を解いた後、パラメータに具体的な定数を入れてあげれば、問題の解の具体的な数値がわかるということになります。他にも、パラメータを変更した場合、(つまりチョコの価格が50円から100円に変更した場合)、解がどう変わるかということも調べることができるのです。すみません。余談が長くなりました。


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