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2.多変数関数
さて、多変数関数を学んでいこうと思うのですが、ここでは2変数か3変数までのところだけを学び、それ以外の多変数関数の議論は中級編で行いたいと思います。
2変数関数を数式で表すと、
という風に書くことができます。先ほどの例だと、zが支出額、xがチョコの購入量、yが抹茶アイスの購入量ですね。でも、支出額をE、チョコの購入量をC、抹茶アイスの購入量をMとして
と書いてもなんら問題はありません。特に理由がない限り、学者は、変数をx、y、z、関数をf、g、h、パラメータをa,b,c,dで表すのが好きなだけです。
先ほどの例に具体的に関数の形を与えてあげると、
となるわけですね。
ところで、今まで(1変数)のグラフは平面に書いていましたよね。2変数になるとグラフが立体になります。つまり2次元から3次元になるわけですね。3変数になると4次元、4変数になると5次元となりますが、もうそうするとグラフで表すことはできません。
2変数の場合、例えば、
という関数があったとすると、そのグラフは右の図のように書けます。もしもx=27、y=8ならば、
となります。(ちなみに、虚数まで学んだ人は27や8の1/3乗が実数をが1つ、虚数が二つの計三つの値を持つと考えられるかもしれません。しかし、ここでは実数のみを扱うことにしているので一つの値のみを考えています。)これをグラフで見ると右の図のようになります。(右の図を3回クリックしてください。)
また、チョコとアイスの例のグラフは3次元に描く「平面」の式になります。気になる方はWolframAlphaで、z=50x+100yと入力してください。そのグラフの形が3D plotにでてきます。また、他にも3次元のグラフの形が気になる方がいたら、そのサイトで確かめてみてください。それでは、ここで最も説明したい偏微分の説明にいきましょう。
3.偏微分
さて、変数が2個以上でてきた場合の微分はどう考えればいいのでしょう?そこには全微分(total differential)と偏微分(partial differential)の二つの考え方がでてきます。直感的には、前者が全ての変数で微分する、後者が他の変数は一定としてある一つだけの変数で微分するということになります。ここでは後者の偏微分を学ぶことになります。
初めに偏微分可能の定義を書きます。
が存在するとき偏微分可能となります。左が偏微分係数を表す式です。(用語は全て、微分の時に説明したものに偏をつけたものと同じです。)∂はラウンド、ラウンドデルタ、パーシャルと呼びます。好きなものでよんでください。私はパーシャル(partial)と呼んでいます。偏微分係数はxによる偏微分係数は他にも
と表記する場合があります。
さて、定義をみると1変数の微分とあまり変わらないなぁということがわかりますね。違いを探すとyが加わっているだけですが、yはxみたくΔxが加わっているわけでもありませんし、極限にもΔxしかでてきません。yは何も手を加えられずにあるというのが1変数のときの微分との違いですね。となると、例えば
という関数があれば、定義にあてはめて計算すると
となりますが、よくみるとyを定数と捉えて、xで1変数の場合と同じく微分していることがわかります。つまり、微分の公式
を使い、yは定数だから、2項目のyはxの係数、3項目は定数とみなして
としているのと同じですね。ただし、プライム「‘」を使ってはいけません。なぜかというと、2変数の場合、xの偏微分係数とともにyの偏微分係数があるからです。そのため
ということになります。yの偏微分係数を考えると同じようにxを定数としてyで微分すればいいわけですから、
ということになります。また、微分することにより新たに得られた関数を導関数と呼ぶと微分入門で説明しましたが、上記も偏導関数という名前がつきます。
偏微分を図で表してみた
最後に偏微分は図でいうと何を表しているのかを考えてみましょう。
この関数をまず点(27,8)でxについて偏微分してみましょう。yを8で固定します。それは右の図のようにy=8の平面で関数をスパッと切ることになります。(右の図をクリックしてください)そうするとその切り口を横から見ると右下の図のようになります。x=27での偏微分ですから、右下に現れた関数をx=27で1変数の微分と同様に接線の傾きを求めます。(右の図をクリックしてください。)これがxについての偏微分です。次のように計算ででる
この値は右の図の接線の傾きを表しています。なお、右上の図は3次元で見た場合の図です。次に点(1,8)におけるyでの偏微分を考えます。(右の図をクリックしてください。)xを1で固定します。それは右の図のようにx=1の平面で関数をスパッと切ることになります。(右の図をクリックしてください)そうするとその切り口を横から見ると右下の図のようになります。y=8での偏微分ですから、右下に現れた関数をy=8で1変数の微分と同様に接線の傾きを求めます。(上の図をクリックしてください。)これがyについての偏微分です。次のように計算ででる
この値は右上の図の接線の傾きを表しています。なお、右上の図は3次元で見た場合の図です。