第二法則 「割り算は引き算に」
これも掛け算が足し算になったのと同じように計算できますね。つまり、
となって、値はかわりません。これも掛け算で示したように示せますが、それは読者に譲ります。結局は真数の割り算は指数の引き算になるという表現の対数版でしかありません。
第三法則 「累乗は掛け算に」
これもイメージは前章と同じです。例えば
ということになります。これも第一法則と同じように表現できますね。
前章の第四法則は、こちらではあまり大きな意味を持ちません。なぜかというと
という風に真数にルートがあっても、用いるのは前章の第四法則とこの章の第三法則だけだからです。
しかし、ここでひとつ覚えてもらいたい法則があります。それは
底の変換法則
この法則は、底を「ある法則」に従っているならば正の値のどんな数字にしてもよいというものです。ある法則を一般的に書くと
です。はじめに、底をcに置き換えます。その対数を底をc、真数をもともと底であったaにした対数で割ります。そうすると値が変わりません。例をあげると
と、この法則にしたがえば底を正の値ならどんな数字に変えてもいいのです。不思議ですね。
と、きちんと等しいのもわかります。(厳密な証明は後でします。)
さて、計算方法がわかったところで、少し例題を作っておきます。
例題 次の対数を、対数を用いない形であらわしてください。
解答例
底の変換法則の証明
(ただし、a,b,cは全て正の値とする。)
を証明する。今
とおく。したがって、
が証明されればよい。
を指数を用いた表現に直すと
である。(2)式と(3)式を(1)式のa,bに代入すると
cは正の値であるから
となり、底の変換公式が証明された。以上で対数計算の章を終わります。