税の効果

presented by P-suke

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3.供給者への課税

供給者(売り手)に課税した場合の効果を考えてみましょう。ここでも従量税であるとします。

右の図を見てください。

さきほどと同様に需要と供給が均衡している状態を考えます。P*は均衡価格、Q*は均衡取引量です。このとき、供給者に課税したとします。これも、本当は供給曲線上、需要曲線上の動きとして表現されるのですが、理解しやすくするため、まるで課税によって供給曲線がシフトしたかのように分析します。さて、とすると、消費者(買い手)の視点から「生産者への課税」をみると、生産者のコストが課税額分増加したことになります。つまり、課税額分の供給曲線の上シフトとしてとらえられます。(右の図をクリックしてください。)(ここでのシフトも従量税なので平行シフトです。)

そうすると、買い手の視点からの新しい均衡点E'が得られます。(上の図をクリックしてください。)つまり、このDとS'の交点E'によって得られる均衡価格が消費者(買い手)にとっての価格なのです。交点によって得られる取引量QTは課税後の取引量です。しかし、売り手にとっての価格は買い手にとっての価格から税額分差し引かれた価格です。今供給曲線SとS'の差がちょうど税額分ですから、売り手の価格は、均衡点E'から垂直に下にいき、供給曲線Sと交わった点ということになるのです。つまり、PDが買い手にとっての価格、PSが売り手にとっての価格になります。

したがって、買い手にとっての価格は課税前の均衡価格よりも高くなり、売り手にとっての価格は課税前の均衡価格よりも低くなります。これは、生産者に課税したけれども、それにより供給が減少し、買い手の価格を上昇するということです。つまり、生産者に課税したけれども、消費者(買い手)も間接的に市場のメカニズムを通して課税を負担しているといえます。その負担の割合は消費者は買い手にとっての価格−均衡価格供給者は均衡価格−売り手にとっての価格となります。(右上の図をクリックしてください。)つまり消費者への課税と同様に、消費者にとっては課税による価格の上昇が、供給者にとっては課税による価格の下落がそれぞれ負担分なのです。

さて、ここで図から供給曲線S'を除いて見ましょう。なぜなら、供給曲線S'は分析上の便宜でしたから。(右上の図をクリックしてください)そうすると、矢印の幅分の課税の導入によって、消費者は需要曲線Dに沿って価格が上昇し、供給者は供給曲線Sに沿って価格が下落しているのがわかりますね。つまり、供給曲線のシフトは起きていないのです。

消費者への課税と生産者への課税を比べてみると、市場のメカニズムが働いた後、負担する割合が全く同じであるということがわかります。つまり、消費者に課税しても生産者に課税しても、課税の負担する割合は変わらないということが導き出されるのです。ただし、完全競争市場で納税のコストを無視しているということが前提にされています。たとえば消費税、消費者が納税するとなると、管理するのが大変ですよね。そのため、管理しやすいよう企業が納税しているということになります。

私は消費税が3%から5%に上昇したときに、スーパーマーケットの税込表示でない価格が下落したのを覚えています。確かに、税率が上がったために商品の価格をそのままあげてしまえ、なんていう戦法をとったらお客さんが逃げてしまいますよね。しかし、それでは、消費者・生産者が課税を負担する割合はどのように決定されるのでしょうか。それは、さきほどの例にヒントがあります。「税率が上昇したときにその税率の上昇分そのまま商品の価格を上昇させてしまたら」「お客が逃げてしまうために」「商品の元値を下げる」のですから、もしも商品の価格を上昇させても「お客が逃げなければ」「元値を下げる必要はない」わけです。つまり、価格の上昇、または下落に、需要者、または生産者がどれだけ敏感に反応するのかということがポイントなのです。これは前章で学んだ需要の価格弾力性供給の価格弾力性ですね。次のページでは、これら弾力性と課税の負担の割合について述べることにします。


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