弾力性

presented by P-suke

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3.需要の所得弾力性

さきほどまでの需要の価格弾力性は「価格が1%変化した」ときに需要量が何%変化するのかということを示す数値でした。今度は「所得が1%変化した」ときに需要量が何%変化するのかということを示す数値、需要の所得弾力性を説明します。まず定義を示しましょう。まず、所得をincomeの頭文字をとってIで示します。(人によってはmoneyの頭文字をとってMであらわすこともあります。)



となります。注意してほしいのは、価格弾力性の定義にはマイナスがついていたのに、所得弾力性の定義にはマイナスがついていないことです。需要関数のシフトのところで説明しましたが、価格と需要量の関係とは違って、所得の増加は需要量を増加させるときも、減少させることもよくありえることだからです。(通常、価格の上昇は需要量を減少させる。価格の上昇が需要量を増加させることは滅多にない。)では次に計算例を考えましょう。所得が10万円から12万円に増加したときにタバコの需要量が4箱から6箱に増加したとします。この時所得は20%増加し、需要量は50%増加しました。したがって所得弾力性は



となります。

財の分類

さて、所得弾力性を用いて財を分類することができます。需要関数のシフトのところで、所得の上昇が需要を増加させるものを正常財もしくは上級財と呼ぶと説明しました。それは所得弾力性を用いて説明するとどうなるでしょうか。所得が増加した場合、所得の変化率は+です。所得の増加によって需要が増加するのであれば需要の変化率も+です。したがって、所得弾力性は分母も分子も+になりますから、正の値になります。(所得が減少した場合は分子、分母ともに−になるので、所得弾力性は正の値になります。)つまり、

ある財の所得弾力性が正の値(+)ならば、その財は正常財である。

ということになります。

同じように、

所得弾力性が負の値である財は劣等財(下級財)である。

所得弾力性がである財は中立財である。

といえます。また、所得弾力性で定義できる二つほど財の分類があります。

必需品とは所得弾力性が1より小さい値である財

贅沢品(奢侈財)とは所得弾力性が1より大きい値である財

となります。なお、必需品の定義に「0より大きい」と加える場合もあります。必需品は所得弾力性が1より小さいという意味はつまり、「必需品とは所得が1%増加しても需要量が1%より増加しない財」という意味で、さらに噛み砕けば、所得の増加以上に需要量が増加しない財、所得が変化しても需要量が変わらない財、ということです。確かにそうですよね。必需品はある一定量が必要ですから、所得が増加しても減少しても、需要量をあまり変化させないのです。それに対して贅沢品は、所得が1%増加した場合、需要量が1%以上増加する財ということです。噛み砕けば、所得の変化に対して需要量の変化が大きいのです。つまり、贅沢品は所得が上がればたくさん消費し、下がれば、一気に購入しなくなるということですね。だから、さっきのタバコの例だとタバコは正常財でかつ贅沢品ですね。では、これで所得弾力性の説明を終えます。次に、交差価格弾力性と供給の価格弾力性について説明してます。


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