弾力性

presented by P-suke

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1.イントロダクション

たとえば価格が1%上昇したときに、需要量が何%減るのかというのは企業からしてみたら大きな関心ごとです。とくに、その減少が1%以上なら収入が減少するだろうし、1%以下なら収入が増加するからです。(※線形近似したときの結果です。後のページで詳しくみます。)(変化率の計算、Δの記号の意味がわからない人は経済数学の変化率へ)いいかえれば、価格が1%上昇したときに需要量が何%減少するのかというのは需要者がどれだけ価格に「敏感に反応するのか」を表している数字だといえます。このようにあるものが1%変化したときに、もう一方が何%変化するのかという概念を「弾力性(elasticity)」と呼び、それは、「反応の大きさ」を判断する数値となるのです。さて、この弾力性について詳しく学んでいきましょう。

2.需要の価格弾力性

イントロダクションで紹介した弾力性は「需要の価格弾力性」といいます。その定義は



となります。つまり、価格が1%変化したときに需要量が何%変化するのかということを表しています。変化率の×100は約分されてしまいますし、この需要の価格弾力性の定義にはマイナスがつきます。(本によっては定義にマイナスがつかないものもありますが、マイナスをつけた定義のほうが一般的なのでここではマイナスをつけます。)なぜかというと、需要の法則によって、価格と需要量が反対の動きをするからです。つまり、価格が上昇したとき(ΔP>0)、需要量は減少し(ΔD<0)、価格が下落したとき(ΔP<0)、需要量は増加(ΔD>0)するから、(需要の変化率/価格の変化率)は常に負の値になってしまうので、マイナスをつけて+にしているのです。といっても、文章だとよくわからないので例をだしますね。

今、価格が100円のときにアイスクリームの需要量が50本だとします。価格が120円に上昇したときに、アイスクリームの需要量が45本に減少しました。このとき、価格は20%上昇し、需要量は10%減少しました。言い換えると価格は+20%、需要量は−10%です。そうすると需要の価格弾力性



となり、正の値になります。もしも定義にマイナスがついていないと



とマイナスになってしまいます。価格と需要量が反対の動きをするうちは必ずマイナスになります。必ずマイナスになるくらいなら、毎回マイナスつけるのも面倒なので、定義にマイナスをつけて、プラスで表記した方が楽だし見やすいので、定義にマイナスをつけたのです。

さて、弾力性が1よりも大きいとき弾力的といいます。つまり、特に価格弾力性が1よりも大きいときことを言いたければ価格弾力的といいます。また、弾力性が1より小さいとき非弾力的といいます。じゃあ弾力性がぴったり1だったら?・・・それは単位弾力的といいます。単位とは1単位を表しています。つまり、価格弾力的ということとは価格の変化率よりも需要の変化率が大きいことを示しており、価格非弾力的なことは価格の変化率よりも需要の変化率が小さいことを示しています。単位弾力的というのは価格の変化率と需要の変化率が等しいことを示しています。

変化が十分に小さいときに弾力性と収入には一つの関係が成り立ちます。それをまとめると

価格弾力的ならば、価格が上昇(下落)したときに収入が減少(増加)する。

価格非弾力的ならば、価格が上昇(下落)したときに収入が増加(減少)する。

価格が単位弾力的ならば、価格が上昇(下落)したときに収入が変わらない。

です。逆もまた成り立ちます。

収入とは価格×需要量です。弾力性は反応の大きさだと説明しました。つまり価格弾力的ということは価格の変化に需要者が敏感なのです。つまり、価格の上昇に敏感に反応して需要量が大幅に減少します。その結果収入が減少してしまうのです。簡単にいうと、弾力的な時は、価格が上がると客がいっぱい逃げて、価格が下がると客がいっぱい来るから、価格を上げれば収入が減るし、価格を下げれば収入が増えるのです。価格非弾力的ならば、価格の変化に対して需要者が鈍感です。つまり、価格が上昇しても反応せず、需要量が変わらないのです。簡単に言うと、非弾力的なとき、価格が上がっても客は逃げませんし、価格が下がってもあまり客は寄ってこないので価格を上げたら収入が増えるし、価格を下げたら、収入が減るということです。通常、必需品であればあるほど、また代替できる財がないほど、価格が上昇しても買う量を減らせないため価格非弾力的になります。また贅沢品であればあるほど、また代替できる財があるほど、価格が上昇した場合、買う量を減らせるので、価格弾力的になります。

では次の章でこれらをグラフ的に見てましょう!


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