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6.予算制約
ここでは、予算制約式の説明とそのシフトについて説明します。
例えば、あなたは1000円持っているとします。今、(ピザとコーラは飽きたので)100円の魚をx尾、50円の大根をy個買おうと考えています。そのとき、支出額は
です。その支出額は今所有している1000円を超えてはいけません。そのため、
という式が成り立つはずです。これが予算制約です。そして、この等式だけに着目したもの、つまり、
を予算制約式といいます。(さきほどの不等式の場合も予算制約式ということもあります。)より一般的に書くと
となります。なおPは添字の財の価格です。それぞれ、x財の価格、y財の価格です。IはIncomeの頭文字で所得です。
これらをそれぞれ書き換えると
となります。これをx-y平面に書いてみましょう。
このように予算制約式を図に書いたとき、予算制約線と呼びます。(これは等式の場合のみです。)そして、予算制約式の傾きは価格比、y軸の切片は所得すべてをy財の購入に使う場合、y財を購入できる量、x軸と予算制約式の交点は所得すべてをx財の購入に使う場合、x財を購入できる量を表していることになります。また、予算制約線の内側、つまり、予算制約線とx軸とy軸で囲まれいる場所が購入可能なx財とy財の組み合わせを表しています。尚、図の価格比は絶対値で書いてあります。
7.予算制約式のシフト
最後に、x財の価格の変化、y財の価格の変化、所得の変化に対して予算制約式がどのように変化(シフト)するのかを考えましょう。といってもこれはさっきの図を理解すると簡単です。さきほどの図では、「価格比」「y軸と予算制約線の交点」「x財と予算制約線の交点」の三つがでてきました。この三つに着目して考えます。
まずx財の価格が上昇した場合を考えましょう。x財の価格が数式に入っているのは「価格比」と「x財と予算制約線の交点」です。価格比はx財の価格の上昇によって上昇し、「x財と予算制約線の交点」が減少します。(右の図をクリックしてください)つまり、x軸と予算制約線の交点が内側にシフトします。(右の図をクリックしてください)予算制約式の内側は予算内で購入可能なx財とy財の組み合わせを表していますから、これはx財の価格の上昇によって、x財とy財の購入可能な組み合わせが減少したことを表しています。同様にして、x財の価格が下落した場合はさきほどと反対のことが起きます。(右の図を2回クリックしてください。)
y財の価格が上昇した場合も同じように考えられます。y財の価格が数式に入っているのは「価格比」と「y財と予算制約線の交点」です。価格比はy財の価格の上昇によって下落し、「y財と予算制約線の交点」が減少します。(右の図をクリックしてください)つまり、y軸と予算制約線の交点が内側にシフトします。右の図をクリックしてください)つまり、y財の価格の上昇によって、購入可能なx財とy財の組み合わせが減少したことが示されています。同様にして、y財の価格が下落した場合はさきほどと反対のことが起きます。(右の図を2回クリックしてください。)
最後に所得が増加した場合を考えましょう。所得が数式に入っているのは「x財と予算制約線の交点」と「y財と予算制約線の交点」です。所得の増加によって「x財と予算制約線の交点」は増加し、「y財と予算制約線の交点」も増加します。(右の図をクリックしてください)つまり、価格比が変わらずに「x軸と予算制約線の交点」と「y軸と予算制約式の交点」が外側にシフトします。右の図をクリックしてください)これは予算制約式が価格比が変わらないために右上に平行シフトしたということです。そして、購入可能なx財とy財の組み合わせが増加したことになります。同様にして、所得が減少した場合はさきほどと反対のことが起きます。(右の図を2回クリックしてください。)
これで、効用関数と予算制約式の章を終わります。次の章で、この無差別曲線と予算制約式を使って、効用最大化問題を解いてみましょう!