数学質問1

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数学の質問1 間接効果がある場合の微分

先日、次のような質問がきました。



をxで微分するとなぜ



となるのですか?

というものです。これについては二つの方法で説明ができます。ちょっと面白い話題だなぁと思ってHPに載せることにしました。初めに全微分を使った簡単な証明。



ですから、両辺をdxで割ることにより



となります。したがって、



が証明された。これは簡単な証明ですね。しかし、私はこれではどうも納得がいきません。ちょっと粗い証明ですよね。そこで、全微分可能であることとと同様の条件を認めたうえで、微分の定義式から上の式を厳密に求めてみました。







が満たされ、かつ関数f(x,y)のxの偏導関数が連続であるとき、つまり、関数fがxについて連続偏微分可能、aについて偏微分可能であり、aがxにより微分可能であるとき、



となることを証明する。まず定義式を変形する。







そこで、第二項に着目すると



であるから、次のように式変形できる。







となる。次に第一項に着目すると



平均値の定理より



ただし、



であるとする。ところで、関数fはxで連続微分可能であり、a(x)は微分可能であるから連続関数である。したがって、





である。以上をまとめると、



となり、証明された。

できるだけ厳密に証明しましたが、いかかでしょうか?もしも証明で不十分なところがあれば、連絡いただけると幸いです。

ちなみに、これは微分の直接効果間接効果と呼ばれるものです。xが微小に増加した際、xが直接zに与える影響が第1項、xがyを媒介してzに間接的に影響を与える効果が第2項です。そのため第1項が直接効果と呼ばれ、第2項が間接効果と呼ばれるのです。たとえば、アイスクリームの価格と温度の関係だと考えましょう。アイスクリームの価格がzで、温度がa、需要量がyです。温度が上昇した場合、直接アイスクリームの価格が上昇する効果と、温度の上昇により需要量が増加し、価格が上昇した効果の二つが考えられます。前者が直接効果で、第1項、後者が間接効果で第2項です。温度が直接価格に影響を与えていなければ、第1項は0になる、というような形で使われるのです。経済学では特に包絡線定理で用います。それでは★


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