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4.n階導関数のテスト
さて、1階の条件でだした候補を2階の条件で調べたら、0だった場合どうしたらいいのでしょうか。そういうときは、3階の導関数を用います。3階の導関数にいれても0だったら4階の導関数を用います。4階の導関数でも0だったならば5階の導関数を用います。これを繰り返して、正の値または負の値がでてくるまで続けるのです。
もしもn階の導関数で0でない値がでてきたとします。そのとき、nが奇数ならば変曲点です。nが偶数であり、その値が正ならば極小値です。また、nが偶数であり、その値が負ならば極大値です。そして、万が一、ずっと0ならば、それはその停留点の周りで定数である関数なのです。それは、何度も微分するという徒労をする前に関数を見て気づいてください。さすがに、停留点の周りで定数だったならば、微分を用いて極値を調べる方法はありません。虫眼鏡で済む調査に顕微鏡を用いて調査して、逆に意味がわからなくなるような状況です。
さて、n階導関数のテストが役立つ例を二つ紹介します。
一階の条件は
ですから、停留点はx=0となります。2階の導関数以降を求めてみると
となります。x=0を代入すると、2階の導関数と3階の導関数は0になります。しかし、4階の導関数は0になりません。4は偶数であり、24は正の値ですから、x=0の点は極小値になるのです。また、最小値にもなっています。次に変曲点となる例をだします。
一階の条件は
ですから、停留点はx=0となります。2階の導関数以降を求めてみると
となります。x=0を代入すると、2階の導関数は0になります。しかし3階の導関数は0になりません。3は奇数であり、6は0ではない値ですから、x=0の点は変曲点になるのです。
n階導関数のテストを厳密に証明するのにもロピタルルールや連続関数の極限値での符号と近傍の符号の関係を使うので、中級編で行います。
次に多変数における最適化条件を簡単に説明します。