最適化問題

presented by P-suke

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3.極大値、極小値であるための十分条件

さて、ここではまず極大値と極小値を見分けるための条件を説明します。先ほどは1階の微分を用いて極大値と極小値の候補をだしました。これを1階の条件(First order condition, FOC)と言います。それに対して、極大値、極小値を見分ける条件は2階微分を用います。したがってこれを2階の条件(Second order condition, SOC)と言います。先に結論を書くと



が満たされるとき、で極大値をとります。また



が満たされるとき、で極小値をとります。これは直感的には次の図のとおりです。

極大値をとっている点の接線の傾きは0です。これだけの情報では極小点と変わらないので、極大値の周りの接線の傾きを見てみましょう。(右の図をクリックしてください。)極大値の周りの接線の傾きは、左側ではプラス、右側ではマイナスになっているということがわかります。つまり、傾きが+→0→−と変わっているのが極大値なのです。これを言い換えてみましょう。(右の図をクリックしてください。)さらに、その傾きの増加分を見ると、+から0に傾きが減少しているので接線の傾きの増加分は−。0から−に傾きが減少しているので接線の傾きの増加分は−。したがって、極大値の周りでは接線の傾きの増加分が−なのです。(厳密には、接線の傾きの増加分が常に0または−。詳しくは章末で。)言い換えれば、1階微分係数の増加分が負、つまり、1階微分係数を微分したものが負、すなわち2階微分係数が負なのです。それが、上の式の意味です。

極小値をとっている点の接線の傾きは0です。先ほどと同様に、極小値の周りの接線の傾きを見てみましょう。(右の図をクリックしてください。)極小値の周りの接線の傾きは、左側ではマイナス、右側ではプラスになっているということがわかります。つまり、傾きが−→0→+と変わっているのが極小値なのです。これを言い換えてみましょう。(右の図をクリックしてください。)さらに、その傾きの増加分を見ると、−から0に傾きが減少しているので接線の傾きの増加分は+。0から+に傾きが減少しているので接線の傾きの増加分は+。したがって、極大値の周りでは接線の傾きの増加分が+なのです。(厳密には、接線の傾きの増加分が常に0または+。詳しくは章末で。)言い換えれば、1階微分係数の増加分が正、つまり、1階微分係数を微分したものが正、すなわち2階微分係数が正なのです。それが、上の式の意味です。

さきほどの利潤関数と生産量の例で試してみましょう。さきほどの利潤関数の一階微分(一階の導関数)と一階の条件を満たす生産量は





でした。ここで、2階の導関数を導きます。(つまり、もう一度利潤関数を微分します。)



このQに1階の条件で求めた−1と3を代入して、+か−なのかを調べます。



となっていますから、Q=−1で極小値、Q=3で極大値であることがわかります。

ところで、問題ではQ≧0でしたから、Q=−1は含みません。Q=0からQ=3まで増加し(接線の傾きが+のため)、Q=3以降は減少し続けます(接線の傾きが−のため)。したがって、最小値は存在せず、Q=3で最大値となるのです。つまり、利潤を最大化させる生産量はQ=3であるということになるのです。

今までの議論をまとめるとこういうことになります。


⇒ f(x)はで極大値をとる。



⇒ f(x)はで極小値をとる。

ということになります。少し話を変えて、論理でPならばQであるとき、PをQの十分条件(sufficient condition)といいました。これはQであることを述べるためにはPを満たしていれば十分であるという意味です。極大値であることを述べるためには1階の条件と2階の条件を満たしていれば十分でした。したがって、1階微分が0、2階微分が負であることを極大値であるための十分条件と呼びます。また、1階微分が0、2階微分が正であることを極小値であるための十分条件と呼びます。

一方で、論理でQならばRであるとき、RをQの必要条件(necessary condition)と呼びます。先ほどの十分条件と間違わないために少し説明を加えると、PならばQ、QならばRという論理があった場合、PをQの十分条件といい、RをQの必要条件というのです。つまり、Qであるならば満たしている条件をQの必要条件というのです。「QであるためにはPさえ満たせば十分なのです。」「QであるならばRを満たす必要があるのです。」また、PならばQ、QならばPであるとき、PはQの必要十分条件であるといいます。もちろんQはPの必要十分条件です。PとQは同値であるといいます。

さて、今までは極値であることの十分条件を話してきました。では、極値であることの必要条件とはなんなのでしょうか?なぜ、このような議論をするのかというと、右の図のようなケースがあるからです。(ここでは極大値のこと詳しくを述べます。極小値のことも同様だからです。)右の図においては1階微分も2階微分も0である点があります。つまり、極大値であるならば2階微分が0になるという可能性もあるのです。これは極小値であるときにも言えます。したがって、極大値であることの必要条件は一階の条件が十分条件と同じですが、二階の条件が負または0と十分条件とは異なります。したがって、さきほど求めた極大値の十分条件は極大値の必要十分条件ではないということがわかりました。

もちろん、さきほど求めた必要条件も極大値であるための必要十分条件ではありません。というのも二階微分が0の時、極大値になることも極小値になることも、また、右の図のように変曲点(fringe point)になることもあるからです。変曲点とは二階微分が−から+に、もしくは+から−に変わる点です。つまり、曲がり方が逓減から逓増に、逓増から逓減に変わる点なのです。変曲点の左側で接線が関数の上に引けたのならば、右側では接線が関数の下にひけます。もちろん左側で接線が関数の下に引けたのであれば、関数の右側では上に引けます。たとえば



という関数ならば、x=0で接線の傾きが0になり、x=0で変曲点となっています。もちろん、この関数には極大値も極小値もありません。

さて、今までの極値に関する議論をまとめましょう。1階の条件を満たす、つまり接線の傾きが0となる点(あ、言い忘れていましたが、この点を停留点(sstationary point)と呼びます。)は極大値にもなるし、極小値にもなるし、また変曲点にもなる。そのため、1階の条件だけでは結論づけることができない。そのため、1階の条件で見つけ出した候補に、2階の条件を満たすかどうかを調べて、極大値と極小値を見分けることができる。しかし2階の条件を満たさない、2階微分の値が0だからといって、その点が極大値、または極小値ではないとは言い切れない。変曲点であるとも言い切れない。ということがわかったのです。

また、十分条件と必要条件についてまとめるとこうなります。



こうみると、十分条件と必要条件では2階微分の条件だけ違いますね。そのため、十分条件の2階微分の条件を2階の十分条件(second order sufficient condition)といい、必要条件の2階微分の条件を2階の必要条件(second order necessary condition)といいます。

なお、これは証明したわけではありません。厳密に証明するためには中間値の定理やロルの定理、平均値の定理を学ぶ必要性があります。詳しくは中級編で行います。

「最適化問題を解く」ということは「目的関数を最適化する変数の値を求める」ということです。、目的関数を最適化する変数の値が端点の場合、端点解(corner solution)と呼び、端点以外の場合内点解(innner solution)といいます。端点解ならば、極値よりも端点のときの関数値の方が最適値であることか、また、極値がなければ端点のときの関数値が最適値であることを直接示してください。最適値が内点解であったならば、先ほどの説明であった1階の条件、2階の条件で導き出せます。

大体の議論は2階微分までで極大値、極小値の結論をつけることが可能なので、ここで説明を終えてもいいのですが、一応1変数の場合の議論を最後まで説明を書いておきます。ですので、あと、残っている議論は2階微分が0の場合どうしたらよいのか、ということと、多変数の場合はどうしたらいいのかということです。前者は次のページで説明します。後者はこの章のページ4で説明します。説明を飛ばしたい人は飛ばしちゃってください★


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