トップページ > 経済数学目次 > ラグランジェ未定乗数法の証明 1
1.イントロダクション
ここでは、ラグランジェ未定乗数法(2変数の場合)の必要条件の証明を陰関数の定理を用いて証明します。(そのため、タイトルは陰関数の定理入門のままにしてあります。)条件付き最適化問題の章では全微分を使った証明しかしてませんでしたからね。制約付きで目的関数が点(x*,y*)で最適化されている場合、ラグランジェ関数を1階微分して0とおいたものが必要条件であるということを証明します。
2.陰関数の定理を用いた証明
g(x,y)=cという制約のもとで、目的関数f(x.y)が点(x*,y*)で最大化(最小化)されているとする。そのとき、陰関数の定理より
であるから、点(x*,y*)の開近傍において
という関数h(x)が一意に存在し、
となる。ただし、
である。したがって、制約下での目的関数は点(x*,y*)の開近傍において
が得られる。ところで、点(x*,y*)において最大化(最小化)されているのだから、目的関数の1階微分
が点(x*,y*)で0になる。また、
であるから、
である。したがって、
とおけば
が得られた。したがって、以下の三つの条件
が最大化(最小化)されている点では満たされているのである。これは、ラグランジェ関数、
をそれぞれの変数で一階偏微分して0とおいた条件である。
証明終了です。二階の条件も、関数f(x,h(x))を二階微分すると正になる、負になる、という条件から導きだすことができますよ。まぁ、十分条件の証明についてはまた今度ということで。